10cm!シャークダイビング@ガンズバイ 
SHARK DIVING @Gansbaai(South East of Capetown)


カリブはドミニカ共和国でのこと。

トロピカルフィッシュに堪能した南国ダイビングを終え、ダイビングショップのビーチテラスでチルアウトしながらダイビング雑誌を読んでいた私の目にとんでもない写真が目に入ってきた。「BIG 5」…。


ここでの「BIG 5」とは、世界のダイビングスポットベスト5の意味だが、名だたるスポットのうち筆頭に上げられていたのが南アフリカ、ケープタウンから行える、ホワイト・シャーク(ホオジロザメ)ダイビング。まさに映画「ジョーズ」さながらにケージに入ってあの巨大でドウ猛なサメを間近に見るものである。


このドイツのダイビング誌に掲載されている写真は私の心を鷲掴みにして頭から離さなかった。餌に食らいつく際に開くあの血沸き肉踊るおぞましい姿が雑誌の見開きいっぱいに写し出されている。南アフリカ、ケープタウン、ホオジロザメダイビング…。
若干の「マジでやるのぉ?やれんのぉ?!」という、ビビリとも、実際はそう簡単に出来ないのではという不審ともとれる気持ちを抱きつつ、思いをはせ、旅をしているうちに、あら、ついに南アフリカに着いちゃった…。調べてみようかなぁ…(ビビリ気味)。

カントリーレポートでも前述した通り、「ここはアフリカ?野生の王国?」と面食らっている私たちに、ケープタウンは優しかった。
降り立ったこの地では、街なか、宿、旅行会社とどこでもアクティビティの情報が溢れている。ホオジロザメダイビングも、困ったことにあまりにも簡単に情報も手に入り、出来るようだ…。
・・・。・・・オオッシッ!当然やろうじゃないか!

ここまで簡単に出来るとなると、ビビる気なんぞすっかり吹き飛んで、憧れのダイビングに向けて一直線である。何故かいつも一歩後ずさりする妻も完全に乗り気である???


全てのアクティビティ情報は簡単に手に入る



時は流れて当日の朝。

ホオジロザメダイビングのベース基地である南海岸の町HERMANUSから私たちをダイブショップの4×4が拉致してゆく。ものの数十分でハーバーに到着である。



ボートに乗り込んだ私たちの横に、何だかテレビで見たことのあるシャークダイビング用のケージが肩を並べている。船がハーバーを離れてゆく。サメはどこだ・・・!

ケージ


ホオジロザメダイビングの説明を受けながら船に揺られること30分。沖に揺れる1隻の船が盛んに何かにアプローチしている。

…ホオジロザメだ!

こちらのクルーが手際よくケージを下ろし、サメ用に用意しておいたカジキマグロ丸々1匹分の餌にロープをつなげてケージの前の海へ投げ込む。
「気をつけてケージの中へ。」の号令。

5mは優に越す異常に巨大なホオジロザメがゆったりと泳いでいる様は、何故か私たちの恐怖心を和らげ、誰もが事も無げにケージの海水の中へ入る。水の中で待つ。

ダイビングとはいっても、これは本来のスクーバダイビングとは別物である。ウェットスーツを着て、スノーケルとマスクをつけてケージの中に入り、サメが近付いてきたら、クルーの「ダウン、ダウン!」の声にしたがって水中に潜り、その姿を間近で見る。ケープタウン近郊の、透明度がさほど良くない海で、海面に生息するサメを見るのに、酸素ボンベは不要なのである。すなわちこのダイビングにはライセンスはいらない。誰でもできる。



サーフェイスキラーのサメは、しばらく待つと海面に姿を現す。魚の血の匂いに異常に敏感なサメは、こちらが用意した餌のカジキの匂いにつられてケージへと泳ぎ寄ってくる。

そこでクルーは腕を見せるわけである。餌を食われないギリギリでロープを引き寄せ、どれだけ近くまでサメをケージに引き寄せるか。サメはニンジンを頭に吊り下げた馬のように餌を追いかけてケージに寄ってくる!ダウン!ダウ〜ン!


海中に潜った我々には、透明度の低い海中から突如として巨大なホオジロザメが視界に入ってくることに大興奮する!想像よりずっとゆったりと動くその姿に、ホオジロザメの太古からの歴史の偉大さを感じる。ガイドが言っていた通り、ホオジロザメは映画のジョーズではない。ずっと繊細で、地球の環境と共に生きてきた貴重な生き物である。「肉は食うが、その様はまるで鯨だな」というのが感想である。

が!、それだけではこのダイビングが楽しめない、というのが現代人のわがままである。このダイビングではそれもちゃんとわかっていて楽しませてくれた。

6人入れるケージの一番端にいた私だが、クルーが餌をケージへと引き寄せながらサメをおびき寄せた際、ある時サメがケージに近付きすぎてしまった。突然海中から現れて餌に食らいついたサメは私の横10cmにも満たないところでカジキマグロを引きちぎり、ケージに鼻先を打ち当て、生々しい肉の残骸を撒き散らした!あまりにも急に、近くであの巨大な口で餌を引きちぎる様を展開されて、私は思わずスノーケルをくわえたまま絶叫して後ろに飛びのいた!これにはさすがに「鯨だな」などと言わせないとばかりの迫力に満ちていた!!


ホオジロザメの雄大さと迫力を堪能し、帰航する道すがら何万頭も集まるアザラシのコロニーを眺めて帰ったこのツアー。参加する前のミーハーな気持ちにプラスαの優雅な気持ちを手に入れて、そして海と自然への更なる理解を深めさせられた。

そうして我々はまた次の目的地へと移動していったのだった。


アザラシコロニー。これまたすごい。


HOW TO GET
ホオジロザメダイビングWHITE SHARK DIVINGのインフォメーションは街なかの旅行代理店や宿、または南アフリカ情報満載のテイクフリーブック「COAST TO COAST(カントリーレポート写真参照)」などから入手できる。

各シャークダイビング会社が提示している値段はほぼ同額だが、ただ街なかの代理店を比較していくと、かなり割安のツアーやプランを組んでいるところもあるので、探してみるべきである。ダイビングの内容はケージの大きさが変わる程度でほぼ同じと考えてよさそうだ。

(2004年9月の時点で、基本提示額はR1200、約¥20000。探し様ではこれよりぐっと安いツアーもある。R750、約\12500で申し込んだという人もいた。)

ケープタウンの目抜き通り、LONG ST.ではそんなツアーを組んでいる旅行代理店を見つけることが出来る。



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